manufacture money out of thin air

発行日:2016年01月18日

物事には学ぶ順番があることを知っていただきたいと思います。
だから、私は手っ取り早い方法をお話してきませんでした。

銀行の歴史(ゴールドスミスと銀行の誕生)、FRBができた背景やその役割、1971年の米ニクソン政権下でのゴールドスタンダードからの離脱(“ニクソンショック”)、仮想的空間と“現実”、オプションとデリバティブズ、デリバティブズとしての“マネー”、「コインの表側」と「コインの裏側」等について表現を変えながら幾度も繰り返しお話してきました。
それらについて知り理解することは私たちが事業としてオプションにアプローチする上で不可欠なのです。特に、現在起きている状況下において私たちが「コインの表側」に揺さぶられることなく事業を遂行し稼ぎ続けるにはそれらについて知識をもう一度整理して理解を確認することが必要です。

先週、“ボラティリティ”について述べました。
私たちの仕事は“manufacture money out of thin air”です。それは直訳するとこうなります。「薄い空気からおカネを製造する」、です。私は”ボラティリティ“から”価値“を生み出すプロセスについてそのようなイメージを抱いています。現時点で皆さんがそのようなイメージを抱いていらっしゃらなくともいずれそうなるだろうと私は思っています。

そこで今回は皆さんに“ボラティリティ”の凄さのもう一面をご紹介します。
<ストラテジーA>に掲げたVIXオプションは実行しなくてもいいので、それを学習の教材として利用するようにと述べました。それはストラテジーBの個別株オプション(VIXから派生したVXXやSVXY以外)に応用可能なのです。

ここで私が述べたことを思い出してほしいのです。
私たちが実践している“ストラテジー”は「“相場”ありき」ではない、と述べました。
私たちが実践している“ストラテジー”は「“ボラティリティ”ありき」だ、と述べました。
“ボラティリティ”は本質的に“相場”とは異なる、と述べました。

では、<ストラテジーB>で取り上げている“ジャンク銘柄”が仮に倒産しても宝だと言えば皆さんは信じられるでしょうか。倒産しても稼げる方法があるといえば皆さんは信じられるでしょうか。
皆さんはデフォルトリスクさえ心配しなくてよくなります。ただし、別の意味で、“分散”はなお必要です。“分散”の必要性については、別の機会にお話します。

上記について現実的な例をあげて述べます。
XYZという銘柄のオプションについて以下の取引をしたとします。

XYZの株価が5ドルだったときに以下の取引をしました。
XYZ(MAR)5C+1 @1.00/(JUN)5C-1 @2.00
XZY(MAR)5P+1 @1.20/(JUN)5P-1 @2.50

それらの取引によって差し引き230ドル(取引手数料を除く)のキャッシュを手にしました。

XYZが“MAR”の期日前に倒産してしまったらどうなるでしょうか。
(参考までに述べると米企業がデフォルトを起こした場合に、現実的には、一息に倒産という事態にはなりません。米国には通称“Chapter 11”(「チャプターイレブン」)と呼ばれる会社更生法があります。株式は一時的に監視下におかれながらも取引は可能です。上場廃止になっても復活の可能性があります。)

ここでは上記の取引後に、XYZの株価がゼロになったときどうなるか、現実に即して述べます。
“XYZ(MAR)5C+1 @1.00/(JUN)5C-1 @2.00”についてはそれぞれのコールのプレミアムがゼロになるので差し引き100ドルの利益が生まれます。

“XZY(MAR)5P+1 @1.20/(JUN)5P-1 @2.50”についてはそれぞれ分解して見てみましょう。“XYZ(MAY)5P+1 @1.20”は権利行為すると株式を1株あたり5.00ドルで100株売ることができますので、それを0.00ドルで買い戻したと仮定すると500ドルの収益。ただし、先に、”5P+1“に対して120ドルのプレミアムを支払っているので差し引き380ドルの利益になります。一方、”5P-1”については権利行使されると1株あたり5.00ドルで100株買うことになります。ただし、先に250ドルのプレミアムを受け取っているので差し引き250ドルの損失です。“5P+1/5P-1”の取引については差し引き130ドルの利益です。

以上コールとプットの取引を合わせると合計230ドルの利益が出たことになります。
つまり、取引直後に得たキャッシュ(“儲け”)がそのまま“利益”になったということになります。

上記のストラテジーを“CP+1/CP-1”(=”C-1/C+1//P-1/P+1”)と呼ぶことにします。
なお、上記の取引は上下対称なので、株価が“暴騰”した場合でも同様の利益を生むことになります。

私が上述のような取引を利用するようになったのは、“リーマンショック”後にVIXオプションに本格的に取り組み初め、“タームストラクチャー”の数の並びを見て、それを個別株オプションに応用できないかと考えたことがきっかけでした。理論的に誰からから教わったわけではありません。

“数”の変化を愉しんで観察してみましょう。
世界中のマーケット関係者が大慌てしている現在の状況を横目に私たちは自分たちの仕事を楽しむことができます。

<APPENDIX>を掲載しましたので、引き続きログイン画面をご覧ください。