Strategy A

発行日:2015年11月17日

引き続きストラテジーについて述べます。
今回はストラテジーAについてです。Bについては次回お話します。

“ストラテジー”の実践にあたっては“相場”を意識しないように、あるいは、“相場”から離れるようにと再三繰り返し述べてきました。私たちの仕事は“トレーディング”ではなくオプションのデリバティブズとしてのしくみ(機能や構造)を利用してキャッシュを稼ぐことだからです。

しかるに、“ストラテジーA”の実践にあたってはどうしても“相場”を意識せざるを得ないような状況に陥ることがあります。それは“ストラテジーA”が世界経済・経済に直接的・間接的に影響を与えあるいはそれから影響を受けるアメリカの代表的な株価指数(S&P500)と同オプションボラティリティ及びそれらに関連するETFを扱っていることと関係があります。

私たちが意識するかどうかにかかわらず、私たちの耳に入ってくる株式マーケットに関する情報はダウジョーンズやS&P500といった株価指数を基にしたものです。なぜなら、株価指数は平均株価であり株式マーケットを代表しているからです。一方、“ストラテジーB”で扱うような銘柄の情報は日常的に耳に入ってくることはまれなので、それがかえって実践においては好ましいのです。

相場に振り回されることなく根気強く継続して実践していけるなら、“ストラテジーA”には“ストラテジーB”には見られない優れた点があります。それは世界経済が崩壊しない限り、つまり、金融システムが機能し続ける限り、最終的に利益をもたらす構造を備えた対象を扱っているという強固な理論的背景の支えです。そして、それは理屈としては分かり易いといえます。一方、実践には技術上の難しさがあります。

「世界経済が崩壊しない限り、つまり、金融システムが機能し続ける限り、最終的に利益をもたらす構造」というのは、S&P500(株価指数)と同オプションボラティリティの間には明確な関係が認められ、それに関する金融商品(ETF)が金融工学をベースに理論的に作られているということと関係があります。例えば、“タームストラクチャー”がボラティリティ関連のETFの株価を押し上げたり押し下げたりしています。また、平均株価の急落によって増加したボラティリティは必ず減少します。

“ストラテジーA”は以上のしくみを利用したものです。

オプション取引の長い経験を持っている方は“ストラテジーA”を好む傾向にあります。長い経験によって培った技能に自信をもち、そして、背景にある理論がある種の安心感を与えるのかもしれません。あるいは、マクロ的な経済・金融を相手にするのが好きでそれを楽しいと感じられるのかもしれません。

“ストラテジーA”の技術的な難しさは、ベア型ETFを扱うということに関係があります。ベア型ETFは平均株価の反対に変動する金融商品です。平均株価に連動する株式を買う場合、ベア型では株式をショート(空売り)することになります。

第二の難点は、資金管理と実践に求められる資金量に関することです。“ストラテジーA”において扱っているETFの株価が比較的高いので資金を食うという点です。細かいキャッシュを利用してさらにキャッシュを稼ぐことを可能にしてくる“ストラテジーB”で扱う銘柄のような柔軟性や多様性はありません。

“ストラテジーB”に集中されている方は“ストラテジーA”を無理に実践される必要はありません。しかし、金融システムが機能し続ける限り、マーケットには、長期的に継続することでキャッシュを稼ぐことのできる強固な理論的裏付けのあるしくみ(メカニズム)が働いているということを知っておくことはためになるでしょう。